医療法人資生会 八事病院 様

「精神科病院向け電子カルテシステムのなかで使い勝手と安定性、レスポンスが良く、当院の業務効率化に役立っています」

理事長・院長 水谷 浩明氏ほか、医療法人資生会 八事病院のスタッフ皆様に、精神科病院向け電子カルテシステム「Live」を導入した経緯と効果についてお話を伺いました。

お客様プロフィール

心を病む方々に対し「人間的理解に基づく治療」を理念に開設。以来、60年以上に渡って名古屋市東部の天白区塩釜口で精神科の医療を提供し続けています。1997年から、早期退院と再入院防止・社会復帰を目標にチーム医療を実施。
医師・看護・コメディカルを含めた病院スタッフが医療チームを組み、協力して、インフォームド・コンセントに基づいた医療を推進し、患者一人ひとりのニーズに沿った質の高い効果的な医療を提供しています。現在は精神科救急医療、認知症医療、アルコール医療の3本柱を中心に医療を展開。地域の医療機関と連携しながら、現在も、そしてこれからも地域で求められる医療を提供していきます。

理事長・院長:水谷 浩明
所在地:〒468-0073 名古屋市天白区塩釜口1丁目403番地
病床数: 530床(精神科:470床、内科:60床)
関連施設: 八事訪問看護ステーション「虹」、老人保健施設「しおがま」、八事看護専門学校、天白区基幹相談支援センター「かけ橋」
協力施設: 特別養護老人ホーム「八事苑」(社会福祉法人 八事福祉会)、特別養護老人ホーム「第二八事苑」(社会福祉法人 八事福祉会)

【システム導入概要】

八事病院様には、2021年11月より精神科向け電子カルテシステム「Live」を導入いただきました。合わせてタブレット問診アプリと診察案内表示システムも導入いただいております。導入に至った背景と効果について、お話を伺いました。

【導入に至った背景・課題】

紙カルテからの脱却と医療DX(Digital Transformation )を通じた医療サービスの向上

「Live」を導入することになった背景・課題をお聞かせください。

紙カルテの運用課題と社会の変化に対応していくためのデジタル化という課題が背景にありました。

<紙カルテからの脱却>

紙カルテの課題として、情報が集約された紙カルテが物理的に1つしかないということが挙げられます。
当院には精神科のほかに内科、リハビリテーション科、放射線科、皮膚科、歯科という、さまざまな診療科があります。また、診療に関わる10以上のコメディカル部門もあります。 オーダリングシステムを導入していたので部分的な確認はできましたが、紙カルテにしかない情報も多く、紙カルテで確認しなければならない状況が多くありました。

理事長・院長 水谷 浩明氏

そうしたなかでは、紙カルテそのものを運搬する必要があります。紙カルテの運搬は主に看護師や介護士などが担っていましたが、運搬に時間がかかってしまうと、本来、患者様のケアに充てるはずの時間がどうしても削がれてしまいます。患者様に向き合う時間を確保するとともにサービスの質を高めるために、電子カルテを導入することが解決策でした。
また、病棟での診察、外来での診察、外来での家族面談など、紙カルテを利用する場面が多々あります。どの場面でも、紙カルテの現在地を確認したうえ、速やかに用意しなければなりませんが、現物が1つしかない以上、誰かが使っている間は返却されるまで待たなければなりません。

それぞれの業務がスムーズに運ぶよう配慮していましたが、多忙が故に返却の遅れが起こることもあり、電子カルテを導入して院内のどこでもカルテを確認できる環境を作ることで根本的な問題解決を行いたいと考えていました。
加えて、手書きの場合はどうしても書き手の個性が出てしまうため、かならずしも万人が読めるとは限りませんでした。読み手が問い合わせすることもあり、無駄な手間となっていた問題も解決したいと考えていました。

<医療DX(Digital Transformation )を通じた医療サービスの向上>

社会全体を見るとスマートフォンなどのデジタル機器の利用が広く普及しており、当院としても社会の変化に合わせて、患者様がご不便・違和感なく受診いただけるようデジタル化を促進していきたい思いがありました。 また、経営面からはデジタル化によって、不要な帳票印刷を行わないことによるコスト削減に関する効果も期待していました。

電子カルテ導入の取り組みはいつから行ったのでしょうか。

2019年の春から電子カルテ導入の取り組みをスタートしました。当時、当院には電子カルテの知見が全くありませんでした。そこで、まずは電子カルテを利用している3つの病院にお声がけし、見学させていただくことから始め、電子カルテに対する知見を広めて行きました。

医療業務の効率化に貢献している「Live」

電子カルテの比較・検討はされましたか。

蓄積してきた知見を踏まえ、まず精神科病院向け電子カルテを3製品をピックアップしました。そして、各社にプレゼンテーションを行っていただき、比較・検討を行いました。当院スタッフの評価は、どの製品も一長一短があり、決め手に欠けるため1つの製品に絞ることができませんでした。

【Live選定のポイント】
使い勝手と各診療科で使える汎用性を評価

「Live」を選定したポイントをお聞かせください。

選定に迷っていたとき、日本事務器さんの「Live」という精神科病院向け電子カルテを知り、日本事務器さんにもプレゼンテーションを行っていただきました。
当院スタッフの評価は、これまで見てきた電子カルテの中で「Live」はもっとも当院に合うという見解で一致しました。具体的に評価したのは以下の2点です。

<ノウハウが集約された使い勝手>

特に評価したのは使い勝手です。さまざまな精神科のノウハウが集約されている印象で、それが当院の感覚にも訴えかけてきました。プレゼンテーションも分かりやすく、直感的に使えると感じました。  スマートなインターフェースも好印象でした。知りたい情報を参照するとき、いくつもクリックしないとたどり着けないインターフェースは避けたいと考えていましたが、「Live」は直感的かつシンプルな操作で求める情報に最短でたどり着くことができます。さらに検索やオーダー入力に要する時間も短く、快適に使えると感じました。

<各診療科で快適に使える>

当院は精神科以外にも診療科があるため、あまり精神科に特化し過ぎてしまうと、科によっては使いにくくなってしまうのではという心配もありましたが「Live」の場合は他の診療科も利用できる汎用性がありました。導入準備期間に当院内の各科が「Live」の機能を踏まえた運用を検討したこともあり、結果的に懸念した問題が生じることはありませんでした。

タブレット問診アプリと診察案内表示システムの導入経緯をお聞かせください。

電子カルテ導入にあたり、患者様のサービス向上もシステム導入の目的としていました。そこで、患者様に直接関係する部分となるタブレット問診アプリと診察案内表示システムを含めた電子カルテ仕様を院内で策定し、各ベンダーに提案書や見積書をお願いしました。そして、電子カルテ検討と同時に比較・検討を行ったうえでで、日本事務器さんを選定しました。これらのシステムを電子カルテと同一ベンダーから導入したかったことと、日本事務器さんのプレゼンテーションが分かりやすかったことが選定の理由です。

【Live導入まで】

「Live」導入までに行ったことを教えてください。

電子カルテに関わる全部署責任者を集めたワーキンググループを立ち上げ、医師や看護師、薬剤師など、さまざまな部門からの要望をまとめ、それを集約して「Live」に実装していきました。例えば、今まで使ってた帳票を「Live」に実装するのもそのひとつです。日本事務器さんにはその都度、当院に足を運んでいただき、綿密な打ち合わせをして構築作業を進め、2021年11月に電子カルテを稼働しました。
なお、既存の紙カルテにしかない過去情報を参照・確認する方法も合わせて検討しました。過去の情報をすべて電子化することは費用対効果の面から現実的ではありませんでしたので、電子カルテに各医師がサマリーを作成し、電子カルテの情報が充実するまでは紙カルテでも確認を行うようにしました。

精神科医長 橋本 伸彦氏
精神科医長 小林 健一氏
内科部長 岡本 壮紀氏

【Liveの導入効果】
院内における業務の効率化が前進

稼働後の評価・効果をお聞かせください。

<快適なレスポンス>

使い勝手の良さはプレゼンテーションの通りでしたが、加えてストレスを感じないレスポンスの良さもありました。他の病院で電子カルテを使ったときは、カルテを開いて入力画面を表示させるまでに4回ほどクリックしないとたどり着けませんでした。さらに、そのクリックごとに待ち時間が数秒ずつあったため、結局入力画面を表示させるまでに15 ~ 20秒前後の時間がかかっていました。それが「Live」の場合は2クリック、数秒で表示させることが可能です。ストレスなく利用できています。

<安定動作>

フリーズや再起動といったシステム停止はある程度あるものと覚悟していました。ところが、「Live」はシステムが安定しており、これまでのところ大きなトラブルなく利用することができています。継続して利用する中で、動作が重くなるようなことも起きていません。

<業務の効率化に貢献>

多いときは半日で40人前後の外来の患者様を診察します。紙カルテを使っていたころは、紙カルテを開いてハンコを押して症状など記載し、同時にオーダリングシステムで処方を入力するといった作業を繰り返し行っていましたので、終わったときにはいつも体力の消耗を感じていました。「Live」の導入後は、物理的作業が軽減されたため、気持ちにも時間にも余裕が持てるようになりました。患者様と話す時間が増えたり、待ち時間短縮に繋がっていると感じています。

<ペーパーレス化が進む>

「Live」を導入したことでペーパーレス化が大きく進みました。他院からの紹介状に関してもスキャンして「Live」に取り込み、参照できるようにしています。紙カルテの場合は紛失の危険性がありますから、医師や看護師にかかる心理的負担の軽減にもつながっていると思います。
また、当院としては「Live」から出力する帳票を精査し、ワーキングの段階から極力紙の出力を行わないシステム構築に努めました。

<チーム医療の再構築>

「Live」に業務を落とし込むため、さまざまな部門と密に連携したことで、当院の特徴であるチーム医療を見直すことができました。「Live」によって情報共有を加速することで、さらにチーム医療が大きく発展できると感じています。

<看護部:患者様に寄り添う時間が増えた>

カルテの運搬作業のために、スタッフが動かなくてもよくなりました。業務が効率化したことで、患者様に寄り添う時間が増えました。

<薬剤課:処方の経緯をその場で確認できる>

処方が出た際、どういった経緯かを院内薬局にいながら「Live」で確認できることが素晴らしいです。

<内科:PACSとの連携による利便性の向上>

レントゲンの撮影後、以前は実物のフィルムを用意したうえで患者様とやり取りしていました。現在は別途導入した医療画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)が「Live」と連携しているため、電子カルテの画面からレントゲン画像を確認することができます。過去の画像とも簡単に比較できますから、利便性が高まりました。

<患者様からの反応>

診察案内表示システムに関連して、受付番号表示によるプライバシーに配慮した待合室となったことと、診察順が患者様向けのディスプレイに表示されることにより、順番待ちのイライラも解消されるとご評価をいただいています。

薬剤主任 宮浦 淳一氏
情報企画係長 近藤 賢氏
すでに一部で導入が始まったタブレット問診アプリ

【現在の電子カルテ運用】
「Live」のブラッシュアップを継続

「Live」導入後の状況をお聞かせください。

現在、隔週から月1回のペースで電子カルテ委員会を開催し、「Live」運用後の細かな課題の洗い出しと解決のための話し合いを行っています。
当院内の運用による解決を基本としつつ、システム的な課題については日本事務器さんが対応する体制を組んでいます。

【病院としての展開】
日本事務器のソリューションに期待

八事病院様の今後の展開と日本事務器に対する期待をお聞かせください。

タブレット問診アプリに関しては、すでに一部には導入していますが、時期を見て本格的に運用していく予定です。今後、当院としては医療情報連携ネットワークの構築を進めていきたいと考えています。日本事務器さんには、システムの側面から当院のやりたいことを実現できるようなサポートを期待しています。引き続きよろしくお願い致します。

待合室に設置されている診察案内表示システム

※ 取材日時:2022年7月
※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。


医療法人資生会 八事病院 様(1.5MB)