大学図書館情報システム「ネオシリウス」公式ツイッター

【第24回図書館総合展 ポスターセッション出展団体賞】鶴見大学様

2023.07.25

■学校概要

神奈川県横浜市鶴見区にある、学校法人総持学園鶴見大学は、歯学部と文学部(日本文学科・英語英米文学科・文化財学科・ドキュメンテーション学科)で構成されています。
以下、鶴見大学のホームページから「建学の精神」について引用させていただきます。

本学は、仏教、とくに禅の教えにもとづいて、円満な人格の形成と人類社会に対する感謝・報恩の実践をもって建学の精神としています。この精神を、本学の創設に深くかかわられた中根環堂先生は、

大覚円成 報恩行持 感謝を忘れず 真人となる

の二句八字をもって示されました。これを分かりやすく表現すれば、

〜 感謝を忘れず真人となる 〜

あるいは、

〜 感謝のこころ育んでいのち輝く人となる 〜

となります。
人類は、みずからの「知」によって優れた技術を生み出し、物質的繁栄をもたらしました。しかし、その一方で、他者に対する思いやりの心や、広く社会のために尽くそうとする高邁な精神を見失いがちになりました。さらに、現在は、自然破壊を進めるなどのことによって、地球そのものの存続すら縣念されるほどになっています。
私たちは、この点を深く反省して、人として生をうけたことに感謝し、自然との「共生」と相互の「共成」に努めなければなりません。
本学で学ぶ皆さんが、優れた知恵と豊かな心を具える人間として、明るい未来の創造に貢献できる存在へと成長していってくれることを、心から期待します。

(鶴見大学ホームページ「建学の精神」https://www.tsurumi-u.ac.jp/site/about/spirit.html

鶴見大学様は、また、司書・司書補講習の歴史も古く、昭和29年の開講以来既に65年を越え、多くの修了者を図書館界に輩出してきました。現在も全国のさまざまな図書館で鶴見大学の講習受講生が活躍されていることでも知られています。

鶴見大学記念館 提供:鶴見大学
スクールマーク 提供:鶴見大学

■ポスターセッション選定理由について

第24回図書館総合展 ポスターセッション出展団体賞で日本事務器賞を贈呈させていただいたのは、普段あまり図書館に関わらない方々を対象に、POPを通して関係を築くことができている点がすばらしいと感じたことが理由です。
実際には教職員・学⽣を応募対象者として毎年開催されているイベントから始まり、現在では、附属中学⾼等学校の⽣徒も参加する一大イベントになっているようです。
ぜひ、これからも図書館や読書に関するコミュニティを盛り上げて行ってほしいという思いから表彰させていただきました。

※参考 鶴見大学図書館ポスターセッション

https://www.libraryfair.jp/poster/2022/128

■日本事務器贈呈式について

2023年2月22日(水)、神奈川県横浜市鶴見区にある鶴見大学へお伺いし、鶴見大学図書館ポスターセッションにおける日本事務器賞の賞状と記念品の贈呈を行いました。
贈呈式には図書館長の新沢様をはじめ、図書館事務室の牧事務長、ポスターセッション作成者の菅原様・高梨様、学生支援事務部学生支援事務の佐藤部長、学生支援事務部キャリア支援課の田村課長、文学部英語英米文学学科の草薙先生・深谷先生、文学部ドキュメンテーション学科の元木先生、ポスターセッション作成時のPOPコンテストで受賞をした学生さん3名と多くの皆様にご参加いただきました。
贈呈後、ポスターセッションに出展した経緯からPOPコンテストを開催しようと考えたきっかけ、今後のPOPコンテストの展望までインタビューをさせていただきました。

授賞式の様子
授賞式の様子

■お客様からのコメント

「ポスターセッションの参加は、図書館の取り組みとして新しい挑戦でもありました。POPコンテストを通じて図書館と先生方がタイアップをして行う企画だったので、日々の図書館業務も並行しながらの取組みであり、苦労をしたこともありましたが、POPコンテストの様子をポスターセッションとして形に残すことで、学内だけでなく学外の参加者も増え、新しいコミュニティを広げることにも繋がりました。
今回、ポスターセッションへの参加という、新たな取組を評価してもらえたようで嬉しいです。」と、ポスターセッション作成者の図書館事務室の菅原様・高梨様よりコメントをいただいております。

■POPコンテストとは

POPにはおすすめしたい本のキャッチコピー・あらすじ・書名・著者を書き紹介するためのカードという役割があります。鶴見大学で行われているPOPコンテストは教職員・学⽣を応募対象者として毎年9月中旬〜10月下旬に開催されているイベントです。
⽂学部英語英⽶⽂学科の深⾕先生の研究プロジェクト(2018年度)と鶴⾒⼤学図書館との共催をきっかけとして、以来毎年開催されてきました。
現在は鶴⾒⼤学の教職員、学⽣に加え、鶴⾒⼤学附属中学⾼等学校の⽣徒も参加するイベントとなっています。
参加者はおすすめ本のPOPを書いて投稿し(洋書部⾨・和書部⾨)、学⽣や審査員による投票(開催年度により、審査⽅法が異なる)を経て、表彰されます。上位受賞者は学⻑により表彰されますので大学全体としての取り組みであることがわかります。
また、2020年度からは、紀伊國屋書店横浜店とのタイアップ企画として、店頭にて受賞作品の展⽰も⾏い、年々開催規模が拡大しているようです。

■POPコンテスト開始の経緯

POPコンテスト開始の経緯について草薙先生と深谷先生からお話をお伺いしました。
きっかけとなったのは、2016年に全国大学生活協同組合連合会が主催し、丸善雄松堂株式会社・株式会社アルクが協賛された「大学生の洋書POP大賞」に応募し、応募総数352枚の中で鶴見大学の学生さんが優秀POP賞を受賞したことでした。
草薙先生と深谷先生の講義では、当時英語の多読をスタートした頃でもあり、「大学生の洋書POP大賞」に応募してみたところ良いものができたことからヒントを得て、学内でも他学部の学生や図書館も巻き込んでやってみようと考えたそうです。
実際にPOP大賞を学内でやることで効果もあり、学生さんの読解力や多読への意欲にも繋がったそうです。さらに図書館を巻き込んだことにより図書館内の環境整備も行うことになり、POPコンテストがきっかけで学内のコミュニティが盛んになったそうです。

インタビューの様子
インタビューの様子

■POPコンテストに参加した学生さんの感想

最後に実際にPOPコンテストを受賞した学生さんに参加した経緯や参加したことによる学習の効果をインタビューさせていただきました。
参加者は英語英文学科に限らず、日本文学科や歯学部の学生さんもおり、中には2年連続受賞をされた学生さんもいらっしゃいました。
英語の授業での課題がきっかけになった学生さんや、入学前からPOPコンテストを知っており、その時から応募したいと思っていた学生さんまで参加のきっかけも多種多様でした。
POP作品を作成する際にも、POPを作成するまでの構成から自ら考え、形にするため、POPを完成させるまでの課程には一つ一つ意味のあるものだということを教えてもらい、POP作成をきっかけに学習への効果や意欲にも結びついていることを実感致しました。
元々詩集が好きな学生さんは、POPを作成することで、今まで触れたことのない作者の詩を読むことに挑戦してみたりしたそうです。
また、英語の授業での英語多読の課題で参加した学生さんは、面白いなと思った本をPOPにしたいと考えた時に「伝えたいこと・面白いところがどこなのか」ということも考えながら読むようになり、実際にキーワードとなる箇所には付箋を貼り理解を深めていったというお話もいただきました。
POP作成後には、受賞したPOPが実店舗の紀伊國屋書店横浜店でも展示されるため、展示されたPOPをご家族で見に行くことで、学生さんが今学んでいることをご家族に理解してもらえるきっかけにもなったそうです。

POPコンテストを受賞した学生の皆さん
POPコンテストを受賞した学生の皆さん

■今後の展望

草薙先生・深谷先生は「絵本は、大人でも響く・哲学的な内容・色彩豊かなものをメディアで発信しており、優れた絵本は大人にも大切な一冊になる」とお考えです。そのため、今後は絵本作品の応募も考えているとのことでした。また、地域にも開かれることで学外にも鶴見大学を知ってもらえるきっかけになることが理想と仰っていました。

■最後に

今まで、POPはおすすめの本を紹介する一つの伝達手段にすぎないと思っていました。
今回、POPが完成されるまでのお話を伺って、POPは単なるビジュアライズした本の紹介メディアではなく、本の作者の意図するメッセージは何か?POPを通じて他の人にどんなメッセージを伝えたいのか?ということをしっかり考えた上で形にする必要があることがわかりました。
学生さんのインタビューであった「本の作者が意図するメッセージを見つけ出すには1冊の本を何度も読み返さなければ導きだすことができない」という意見もまさにそのことを言っているのだと思います。
また、取材の際の皆さんの表情などから、作者が伝えたいメッセージをPOPとして自分の伝えたいメッセージと共に発信できた時に、自らの読書体験について誇らしく感じることに繋がっているのだろうと感じました。

最後に、この取り組みが、POPを通じて大学から附属中⾼、そして書店を巻き込んだ大きなイベントとして、普段あまり関わらない方々とのコミュニケーションを広げながら、参加者の学習成果や学習意欲の向上に結びつけているところが改めてとてもすばらしいと感じました。鶴見大学の名物イベントとしてこれからも長く続けて行ってもらえたら私たちも嬉しく思います。
取材にご協力いただいた皆様、この度はご協力いただき誠にありがとうございました。

※ 本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

NJC賞の記事 NJC賞の記事一覧

活動報告一覧

日本の図書館コミュニティを、私たちと一緒に盛り上げませんか。

NJCの日々の活動や事例へのご質問、「ネオシリウス」「BOOK MARRY」についてのお問い合わせはこちら。