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【第22回図書館総合展 ポスターセッションGP出展者賞】城西大学・城西短期大学様

2021.05.20

 2020年11月1日(日)~11月30日(月)に全面オンラインにて開催された第22回図書館総合展のポスターセッションについて、2021年3月31日、埼玉県坂戸市にある城西大学水田記念図書館様へお伺いし、日本事務器賞の贈呈を行いました。

■学校概要

学校法人城西大学 城西大学
1965年4月に城西大学を創設。経済学部、現代政策学部、経営学部、理学部、薬学部からなる5学部8学科の総合大学です。
同じキャンパスに城西短期大学も併設されています。
建学の精神は「学問による人間形成」。
学問・研究だけでなく、豊かな人間性を持ち、お互いが尊敬しあえるような人材を育成し、それによって未来の希望ある国や社会を建設していこうという、創設者水田三喜男の青年時代からの夢を実現し、実行していく教育の場となっています。
埼玉県坂戸市にある坂戸キャンパス、東京都千代田区にある東京紀尾井キャンパスの2つのキャンパスがあります。
(城西大学公式ホームページ「学校法人城西大学について」より引用)

■選定理由

 2020年の図書館総合展は、全面オンラインでの開催となり、今までとは異なる開催方法となりました。
今までとは異なる開催方法、そしてコロナ禍でコミュニケーションが難しいなか、城西大学水田記念図書館の学生アドバイザーの皆様のポスターセッションは、図書館に関する活動に留まらず、学生アドバイザーの皆様がこの1年でどのような活動を行ったのかに焦点を当てた作品でした。
その活動内容に応じていくつもの隠しリンクがあり、またそのリンク先は文章だけでなく動画を利用したりと、他のポスターとは異なる充実した内容で、たくさんの工夫があるのにも関わらず統一感のある仕上がりになっていました。
弊社の文教チーム一同は、そのポスターから、学生アドバイザーの皆様のチームワークの良さと、その熱意に心が動かされ日本事務器賞をお渡しする運びとなりました。

■日本事務器賞授賞式

 2021年3月31日、埼玉県坂戸市にある城西大学水田記念図書館へお邪魔し、賞状と記念品の贈呈を行いました。図書館で迎えてくれたのは、館長の関さん、図書館職員の関口さん、小川さん、そして学生アドバイザーの小松さんでした。

 授賞式後、ポスターセッションから感じられたチームワークの良さと熱意が、どのような背景から生まれているのかを知るため、学生アドバイザーの活動内容や、活動をする上で工夫した点、コロナ禍でどのように活動を進めていったのかについてお話を伺いました。

城西大学学生アドバイザー小松さん(写真中央)、館長関さん(写真右)、NJC取材担当者(写真左)

■学生アドバイザーとは

 学生アドバイザーは、「学生が学生に相談できる」制度です。
2012年後期に、「一つのキャンパスに多様な学部が集まっている特色を活かし、学習支援と課外活動を通じてチームワークやクリエイティビティを養ってもらいたい」という想いから発足したそうです。
教員の推薦を受けた3年生以上の学部生と大学院生が図書館長より委嘱を受けて、館内相談席に常駐し、学生と同じ目線で、図書館の使い方や学習をサポートしています。

 学生アドバイザーの小松さんからは、「学生アドバイザーの大きな特徴は教員ではなく大学職員と関わる機会が無限にあること。そのような学生団体は少ないため勉強になっています」というお話もありました。

■活動の概要

 日々の活動は、論文やレポートの書き方をアドバイスしたり、文献の探し方やパソコンの使い方を教えることなどです。2020年度は以下の活動を実施したそうです。

●2020/6/4-19
 「学生選書2020」電子ブックを選書 
●2020/6/5 
 オンライン質問箱を解説  
●2020/11/1-30 
 第22回図書館総合展「ポスターセッション」に参加
●2020/12/14
 第20回ライブラリーラウンジ「1回はやっておきたい!グループワーク体験会」を開催

図書館内の学生アドバイザー相談窓口

その他、週に1回オンラインミーティング開催とその議事録の作成等があり、適宜職員の皆様にて内容の確認をされているとのことです。

 職員の皆様の修正時のポイントとしては、「図書館を知らない人に対して図書館用語は使わずにシンプルに伝える」かつ「プラス思考な表現を伝えることを大切にしている」と図書館関口さんから教えていただきました。社会人になった際に役立つだろうという想いも込めて、職員の皆様は学生アドバイザーの資料に赤ペンを入れているのだそうです。

 そのおかげもあり学生アドバイザーの皆様は、学生アドバイザー活動を通して日に日に文章力が向上しているそうで、職員の皆様にとっても、「学生の成長する姿を近くで感じられることが喜び」と嬉しそうにお話いただきました。

 このような、学生、職員の皆様の関係性があってこそ成り立っている活動であると、取材担当者自身も感じました。

■コロナ禍での活動と工夫について

 コロナ禍で、大学に来られない学生に対しても何かできることはないかと考え、2020年度初の取り組みとしては、

 ●電子ブックのオンライン選書 
 ●オンライン質問箱
 ●オンラインでの相談受付
 ●オープンキャンパスのオンライン参加

を実施したそうです。
「電子ブックのオンライン選書」は、電子図書館サービスLibrariEを用いて、学生アドバイザーの皆様が合計70冊(1人あたり5冊)選書し、推薦コメントをLibrariE上に表示するようにしたところ、学生(利用者)から多くの反響があったそうです。
 また、コラボレーションプラットフォーム(Microsoft Teams)を活用し、学生アドバイザーの活動もよりアクティブに。オンライン会議を録画することで、不参加者でも会議の内容をスムーズに確認できたり、Web上でデータやカレンダーの共有ができたりと、活用することでより便利になったとのお話がありました。

 学生アドバイザー活動においては、それぞれの個性を理解することも大切とのことですが、2020年度はコロナ禍で学生アドバイザー同士で対面で会うことが難しかったため、電話でのコミュニケーションや、オンライン会議への積極的な発言を通して、人柄や個性がわかるように工夫をしたそうです。

 変化を前向きに捉え、活動をより良くするにはどうしたら良いのかを学生アドバイザーの皆様が自ら考え、行動をしていることに感銘を受けました。

■ポスターセッションについて

 個性を活かして、図書館に関する活動だけではなく、学生アドバイザーの活動にフォーカスして作成されました。
1人がリーダーとなり、日々のコミュニケーションを通して感じた学生アドバイザーの個性を活かしてチーム分けをし、作り上げていったのだそうです。
作成途中、適宜リーダーやまた職員様にアドバイスをいただき、ポスターセッション参加決意から5ヶ月間で作り上げた作品とのことでした。

 お話を伺って、単純に製作時間だけではなく、日々の学生アドバイザー活動を通しての学びがあるからこそ作成できる作品だと感じ取ることができました。

 また、ポスターセッションでは、学生アドバイザーのTwitterにて、あえてポスターにぼかしを入れて学生の興味を引く仕掛けを考えたことで、Twitterの閲覧数を増やすことができたのだそうです。

 利用者目線に立って工夫をできることも、学生アドバイザーならではだと感じました。

■最後に…

 来年もポスターセッションに参加する学生アドバイザー小松さんに、今後の展望についてお伺いいたしました。

 「図書館総合展のポスターセッションで1位を取ること。また、学生アドバイザーの活動について、後輩たちにナレッジの共有をしていきたい」とのこと。

 今まで先輩から後輩へ口伝のような形で伝えられてきたナレッジを、文章など分かりやすい形にして、学生アドバイザー全員に共有することを意識されており、まさにチームワークで必要な視野や、社会でも必要な課題発見能力がしっかり身についているなと感じました。

 関口さんからは、「学生アドバイザーでの経験が、社会に出て活かせると思っております。学生アドバイザーには、即戦力で活躍できる社会人となってほしいと思っております。」とお話をいただきました。

学生アドバイザー 小松さん

■授賞式及びインタビューを終えて

 学生アドバイザー活動での、通常の授業では体感できないような「図書館運営サイドとの交流」や「学外での活動」等を通して、今後、社会に出た際に必要となる課題解決能力がすでに習得できていることに驚きました。

 また、2020年度はコロナ禍でしたが、学生アドバイザーの皆様が、変化を前向きに捉え何かできることはないかと行動している姿勢に私自身も身の引き締まる思いがいたしました。

 ポスターから伝わってきた学生さんの熱意は、学生さん自身がやりたいと思う活動を支援してくれる職員様との日々の信頼関係があってこそ、ということを感じましたし、また職員様自身もお話の中で、「学生アドバイザーの成長が喜びだ」と笑顔でお話されていたことがとても印象的でした。

 次回の図書館総合展ポスターセッションにも参加予定とのことでしたので、今から次回のポスターセッションがとても楽しみです。
城西大学水田記念図書館の皆様、貴重なお時間をいただきありがとうございました。

※本事例中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞および製品名等は、閲覧時に変更されている可能性があることをご了承ください。

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