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【第21回図書館総合展 ポスターセッションGP出展者賞】明治薬科大学図書館様

2020.03.31

2019年11月12日(火)~11月14日(木)に開催された第21回図書館総合展のポスターセッションについて、2019年12月26日、東京都清瀬市にある明治薬科大学図書館様へお伺いし、日本事務器賞の贈呈を行いました。

▼学校概要

明治薬科大学
1902年創立の私立大学。建学の精神は「薬学の普及と社会に有用な薬剤師を養成し、医薬分業を実施し、もって国民の保健衛生へ貢献する」。長年の経験で培われた豊富な実績に基づいた高い教育効果と研究実績を有し、全国トップクラスの高い就職率、並びに高い薬剤師国家試験合格率を保持している大学です。
(大学公式サイト「建学の精神・理念等」より引用)

明治薬科大学ロゴ

 

▼大学公式サイトでも取り上げていただきました:
 https://www.my-pharm.ac.jp/news/2019/12/post-141.html

2019年12月26日、東京都清瀬市にある明治薬科大学図書館様へお伺いし、賞状と記念品の贈呈を行いました

 現在の清瀬キャンパスは、1998(平成10)年、創学100周年記念事業の一環として、それまでの世田谷、田無両キャンパスを統合して建設されています。各キャンパスにあった蔵書をまとめ、現在ある図書館に生まれ変わりましたが、ほぼそのままの形でコレクションを合併したのだそうです。

 そこから約20年。書架の容量がとうとう限界を迎えたこともあり、利用者にとっての使いやすさを追及するため、2018年から大規模除籍プロジェクトを開始することになりました。年間約3000冊、3年間で1万冊に登る資料を除籍するというこの活動をまとめたのが、図書館総合展で発表されたポスター「複本除籍大作戦~循環のよいコンパクトな図書館を目指して~」だったのです。

第21回図書館総合展 ポスターセッションの様子
第21回図書館総合展 ポスターセッションの様子

 図書館の皆さんはご存知の通り、「除籍」とは、コレクションを良好な状態に保つために重要な管理業務であるとされています。館の収蔵能力にはどうしても物理的な限界があるため、定期的に適切な除籍を行うことにより、「最新の情報」「重要な情報」が記載された新刊資料を格納するスペースを生み出すことができるからです。

 しかし実際に除籍を行うとなると、除籍する資料の選別、利用や関連資料の状況調査、大学本部からの認可など、多くのステップや高いハードルがあり、なかなか大規模な除籍に踏み切れない大学図書館様も多いと思います。その中で明治薬科大学図書館様は、3年に渡る大規模除籍について綿密な計画を立て、実際に除籍を行い、「図書館ユーザーが利用しやすい図書館づくり」を探求されていらっしゃいました。

 この「図書館ユーザーが利用しやすい図書館づくり」の一環として実施されている除籍作業という点に、弊社としては注目いたしました。単に書架から溢れた本を廃棄するということだけではなく、目的の資料を発見しやすい書架、検索しやすいOPACを目指し、綿密な計画を立て日々コツコツと書架やデータの整備に取り組まれたというプロジェクトに対し、とても感銘を受け、このたび日本事務器賞を贈呈させていただきました。

(中央)明治薬科大学図書館 スタッフの皆様
(中央)明治薬科大学図書館 スタッフの皆様

 図書館様の実施された具体的な計画は、「発行が10年以上前の複本は除籍」「年鑑は10年保存」という除籍基準を新たに整備し、かつ薬科大学の特性上、資料の割合の多くを占め、利用も多い「4類(自然科学)」から優先的に除籍及びデータの整備を行うというものでした。

 それから、40日かけて1日平均140冊の複本を書架から取り出す作業を行い、その中でどの資料を残しどの資料を除籍するかを選別、データの整備・更新を実施。その後、4類資料を移動させる書架の長さを測り資料の幅を入念に計算した上で、無駄な移動が発生しないように移動計画を立て、それまで書架に収まっていなかった資料も書架に収めた上に、新刊分のスペースを確保することにも成功したそうです。選別を行う中で、違う資料なのに同じ書誌で登録されていることが判明したりというトラブルもあったとのことですが、一点一点、丁寧に対応し、結果として目標通り年間約3,000冊の除籍資料を決定することができました。

作業中の書架の様子
作業中の書架の様子

 授賞の際、実際に最上段から最下段まで隙間なく資料が入った書架を拝見しました。その後、すでに除籍を行った4類の書架を見せていただくと、最下段に資料はなく、他の段にも余裕を持って資料が収められていました。すっきりとした書架は資料を探しやすい印象があり、学生さんにとって使いやすい環境となっているのではないかと感じました。

 また除籍作業の一環で行なうデータ整備の結果、OPACではより的確なアクセスポイントを提供できるようになったことも見逃せないポイントと思いました。

除籍前の書架の様子 除籍後の書架の様子

除籍前の書架の様子と、除籍後の書架の様子

 担当の島貫様は、「除籍を行うのは難しいとよく言われるが、筋道を立てて行えばそう難しいことではない。以前の当館同様に除籍で悩んでいる図書館の皆様に伝えたかった」というお話をしてくださいました。また、今後の目標として、新刊用のスペースをより拡大するため、複本以外の資料の除籍についてどのように認可を受けるか考えていらっしゃるところなのだそうです。

 最後の島貫様のお話を伺い、「複本以外の資料の除籍」についての課題は、最新のICTを利用することにより効率的な除籍候補の資料のリストアップが行えるのではないか、と思いました。個々の資料の利用履歴や、ユーザーの利用動向といったデータをAI等の技術を用いて分析、提案といった方法も考えられます。今回のお話で言うと除籍候補リスト作成のような、手作業でもできなくはないが莫大な手間のかかる業務を自動化できるかもしれません。

 忙しい図書館スタッフの皆さんのご負担を減らし、より専門的な業務に注力できるようにするため、弊社もICTの側面から支援していけたらと考えております。

 明治薬科大学図書館の皆様、お忙しい中ご対応いただき本当にありがとうございました。

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