社会福祉法人 日本医療伝道会 総合病院 衣笠病院 様

患者サービスの質的向上と医療業務の合理化を推進。

患者様の医療情報のデータベース化を実現する電子カルテシステム『HS-MI・RA・Is』を導入し、医療の質・安全性とサービスの向上、病院事務の効率化を推進。情報システム時代に即した病院運営を支援しています。

導入の背景・経営上の課題

病院運営の効率化・安全性向上をいち早く実現するために。

衣笠病院様は、1989年に医事会計システム(MAPSシリーズ)を導入して以来、院内の情報システム化を推進し、患者さんの待ち時間短縮や病院運営の効率化に取り組んできました。そして、1995年には物品管理システムを導入して職員の労務内容の軽減を、2000年には放射線画像の電子化を図り、2002年度からは補正予算事業の補助金申請の内定を受けて「電子カルテ導入」に着手しました。

電子カルテ導入プロジェクトにおいて中心的役割を担ってきた情報システム室・黒崎幸夫室長は、導入にいたった経緯を次のように話します。
「当時は、まだ電子カルテを導入している中・大規模病院は全体の2%程度でしたから、参考にできるような事例・ノウハウがほとんどありませんでした。ただ、電子カルテ化は避けられない道でしたし、従来の紙カルテには“ドクターによって書かれた字が判読しづらい”“カルテが科ごとに別になっているために薬の重複投与をチェックできない”といった課題もあったため思い切って決断しました。電子カルテを導入すれば、カルテに記された情報が読みやすく、分かりやすくなりますし、“一患者一カルテ”を複数のセクションで同時に見られるため、医療の安全性向上や患者さんへのサービス向上にもつながると考えていました」

NJCを選択した理由

医療過誤防止システムをはじめ、業務理解に基づく提案力が決め手に。

システム導入にあたって、衣笠病院様が重視したポイントは、(1)医療の安全性、(2)既存資産の継承、(3)システムの拡張性という3項目でした。 「結局3社からご提案をいただきましたが、限られた予算のなかで一番充実した提案をしてくださったのがNJCさんでした。とくに決め手の一つになったのが、医療過誤防止システムです」(黒崎氏)

NJCの提案した電子カルテシステム『HS-MI・RA・Is』は、診療支援機能、オーダリング(診療情報を発生源で入力する)機能、看護支援機能、医療支援機能から構成されています。黒崎氏の言う「医療過誤防止システム」は、このうちの看護支援機能をベースにしたもので、無線LAN内蔵型PDAと電子カルテシステムに記録されている各種オーダ情報(注射・検査・手術など)をリアルタイムに連携させることで、いつでも、どこでも、最新オーダをチェックできるというものです。

「例えば注射をする際、患者さんのリストバンドと看護師の名札、注射容器それぞれに貼られたバーコードをPDAのレーザースキャナーで読み込みます。その結果、最新オーダと間違いがなければ瞬時に承認が得られ、何か一つでも違っていたらアラームが鳴るといった仕組みです。これなら医療事故を未然に防ぎやすく、いつ、誰が、どの患者さんに何を注射したかも記録できます。オーダリングシステムで実績のあったNJCさんの強みが活かされた提案だったのではないでしょうか」(黒崎氏)

導入時の工夫や苦労など

医事システムの再構築から、苦心のスタート。

電子カルテを導入するにあたって、最初に問題となったのは、従来の医事システムと電子カルテを連携させられないということでした。
「というのも、電子カルテの導入以前は各部署がそれぞれ独自のシステムを持っていたため、組織横断型の電子カルテと医事システムをつなぐことができなかったんです。そのため、医事システムも新しく入れ替えざるを得ませんでした。しかも、従来の紙カルテはドクターによって記入方法もばらばらで、例えば病名の欄に書かれている言葉は、正式でない病名も含めると50万種類にも及びました。電子カルテに移行するためには病名をコード化して統一する必要がありますから、これには困りました。結局、頻度の高い病名から抽出して1万5千件を手作業で付け替えることで対応し、98%の病名までは統一修正を行うことができました」(黒崎氏)

その後も、ネットワーク環境構築のLAN工事、各部署との打ち合わせ(業務の棚卸し)と調整、機器の搬入、職員へのPC基礎研修および電子カルテ研修の実施と、各ステップで試行錯誤を重ねていきました。そして4回にわたるリハーサルを行い、2003年10月11日にようやく電子システムが本稼動しました。
「本稼働の瞬間、一緒に苦労をしてくださったNJCさんのご担当が嬉し泣きされていたのが印象深かったですね」(黒崎氏)

導入後の効果

情報共有化と業務の標準化が進み、組織の質が向上。

「コスト面で最も効果が表れたのは医事課です。カルテ整理の人件費が減り、また紙カルテのように外部倉庫を借りて保管する必要もなくなりました。ただし、電子カルテを導入したからといって、それが必ずコスト削減に直結するものではないと思っています。また現時点では保険請求上のメリットがあるわけでもありませんし、ドクターに入力などの負担が増えるため、導入後の数カ月間は診療効率も落ちました。ただ、副次的な効果として院内の“情報の共有化”と“業務の標準化”が進んだことは大きな成果だったと思います」(黒崎氏)

カルテだけでなく、院内の業務に必要なあらゆる情報をネットワーク上で共有し、いつでも、どこでも確認できるようになる。また、電子カルテという共通の情報インフラを整えたことで、病棟ごとにバラバラだった業務プロセスが必然的に標準化されていく――こうした業務改革は患者サービスの質的向上にもつながっています。
検査結果をその場ですぐにプリントして患者さんに渡すなど、従来にはなかったサービスも提供できるようになりました。また、最近はユーザビリティもかなり改善され、新任のスタッフでも2時間研修すれば使いこなせるようになっています」

今後の展開

包括医療制度を見据えて、「クリニカルパス」の構築を計画。

情報システム室の次の目標は「クリニカルパス」を本格稼動に向けて進めていくことです。クリニカルパスとは、診療計画表をデータ化して一元管理するシステムのことで、入院中の標準的な経過を患者さんに分かりやすく説明することができるだけでなく、診療部門・病棟部門間での確実で迅速な情報共有を実現します。
「まだ組織の内部的なまとめができずに着手していないのですが、現システム(『HS-MI・RA・Is』)にはクリニカルパスの機能が搭載されていますから、NJCさんにも協力していただきながら本年度中には稼動させたいと考えています」(黒崎氏)

さらに、「2年半にわたって蓄積された電子カルテデータの統計解析にも今後取り組んでいきたい」と黒崎氏は話します。例えば、病名、薬剤、検査結果などを有機的に抽出して解析・評価するシステムを導入し、“どんな患者さんにどの薬を投与して、どんな効果があったか”という本来ドクターが使いたいような情報が得られる仕組みづくりを構想しているそうです。
「今後、包括医療制度が入ってくるのは確実なので、コスト管理も含めた情報システム化は必須になります。取り組むべきことは山積していますから、NJCさんには是非パートナーとしての強力なサポートをお願いしたいですね」(黒崎氏)

プロフィール

社会福祉法人 日本医療伝道会 総合病院 衣笠病院 様

所在地 神奈川県横須賀市小矢部2-23-1
創業 1947(昭和22)年8月
診療科目 内科・精神科・神経科・小児科・外科・整形外科・皮膚科・泌尿器科・婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・放射線科・麻酔科 ※全科電子カルテ対象
病床数 299床(8看護単位・含緩和ケア病棟)
付属施設 ホスピス、健康管理センター
法人内施設 衣笠ホーム(特別養護老人ホーム)、衣笠ろうけん(老人保健施設)、衣笠病院ケアセンター、衣笠病院長瀬ケアセンター、湘南国際村クリニック

衣笠病院様は、戦後の荒廃のなかで“キリストの愛による医療奉仕”を行うために横須賀を中心とした三浦半島に創設され、以来、地域の中核病院として歩んできました。2002年には、日本医療機能評価機構の病院機能評価(一般病院種別B認定)を受審し、2003年10月より電子カルテを導入するなど、常に高い医療技術と温かい看護の提供に取り組んでいます。

社会福祉法人 日本医療伝道会 総合病院 衣笠病院
院内統合情報システム室 室長
黒崎 幸夫 (くろさき ゆきお) 様