独立行政法人国立健康・栄養研究所との共同研究による保健指導アルゴリズムの発表

日本事務器株式会社(略称:NJC、本社東京、社長 大塚孝一、資本金3.6億円)は、昨年、厚生労働省が発表した「医療制度改革大綱」を踏まえた今後の生活習慣病対策として、健診の事後指導とその評価を中心とした保健事業の構築を支援するシステム導入の相談を受け付ける。同社は、平成16年度と17年度に、独立行政法人国立健康・栄養研究所の研究者(大賀英史室長(統括及び休養・ストレス、性格担当)、宮地元彦室長(運動担当)、高田和子主任研究員(食事担当)、役職名は当時)と医療福祉事業推進本部の高山光尚コンサルタントのチームが実施した産学共同研究「効果的な保健指導プログラム」の成果をもとにしたシステムを、健保組合や健診機関、人間ドック、自治体などで利用できるよう提供する。
厚生労働省の同・改革大綱における効果的な健診のあり方に関する検討では、糖尿病などのメタボリックシンドロームの割合を下げるために数値目標を設定し、各機関が目標値に近づけることで国全体としての医療費を削減することが念頭にある。保険者にとっての特徴は、(1)保険者の責任、(2)アウトカムに関する競争原理の導入があげられる。

独立行政法人国立健康・栄養研究所との共同研究による保健指導プログラムの特長

第1に、利用者の背景や個性を考慮した実行可能なプランを提案し、動機付けに工夫したこと。第2に、検査結果の有所見を中心とした健診結果を提示する従来型ではなく、栄養、運動、休養・ストレスに関して相互の関係を同時に考慮し、メタボリックシンドロームのリスクが小さい人には提供する情報を減らし、リスクが大きい人にはより多い情報と継続的な利用を促すなど、重み付けをしたアルゴリズムを用いていること。第3に、本システムの導入が想定される保険組合等が、集団としての数値目標の達成度合いに応じ、削減される医療関連費用や便益の推計値が算出できること、である。

特長の第1である「動機付け」のための仕組みとしては、次の3つの工夫を織り込んでいる。

  1. 利用者の性格の考慮(個人要因) 提案されたプランの実行方法に関係する性格を類型化し、実施方法に関するプランを調整できる。
  2. 生活背景(就労状況や環境、家庭環境)帰宅時間の調整可能度合い、運動の実施が可能な環境か、単身者か否かなどを考慮したプランが提示できる。
  3. 生活習慣に係る自覚できる体調不良(腰痛や冷え性など)の対処法を提示する。メタボリックシンドロームは悪化するまで自覚症状が出にくいが、既に自覚できる軽微かつ慢性的な症状に対し、対処法を実践して効果を確かめることで、対象者の健康づくりへの関心を高める。これらの症状への対処法の効果については、伝統的な知恵ではあるものの科学的なエビデンスとしての蓄積が少ないが、本システムの利用者数の増加により、次第に精度が高い対処法が提示できるよう、システムが学習するアルゴリズムになっている。また、従来の同様のシステムは、充実しているものでも、うつ病と不眠の対策が主であったことに対し、食事と運動に比べて休養・ストレスについては充実しておらず、本システムでは、身体面、精神面に加え、リクリエーション、家族やコミュニティーなど、休養に必要な包括的な要素を取り込み、それぞれ数値でアセスメントできるようになっていることが特徴である。

保健指導アルゴリズムのフロー

保健指導アルゴリズムのフロー図 システム特長

新しい保健指導が平成20年度から実施された場合、指導を行う機関にとっては、保健師や管理栄養士の指導の手助けとなる本システムの導入により、より多くの対象者への指導が可能となり、また抱えている問題がより多い人に対して、十分な指導をする時間・労力が確保できるなど、従来より良好なサポートが可能となること、また、保険組合にとっては、医療費の削減が促進されるだけではなく、成績が相対的に悪かった場合にペナルティーとして支払わされる負担金を回避できることが期待できる。

販売目標(初期ターゲット、目標健保数)

健康診断アフターフォローサービス 事業モデル

  • 被保険者100,000人規模の健保組合を年間5組合ずつ受注
  • 保健指導プログラム提供率 10%
  • プログラム提供単価(1人当り) 1,500円/月

初年度事業規模 9億円
事業開発から5年後には 約45億円の売上(被保険者250万人を対象)


参考データ

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日本事務器株式会社
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